電気回路① 交流回路のインピーダンス このエントリーをはてなブックマークに追加

交流回路のインピーダンスの求め方

抵抗の一般化

電気回路では抵抗に加えて受動素子のコンデンサやコイルを扱うわけです。ですが、コンデンサやコイルの電流、電圧は90度の位相差が生じます。それを解析するために抵抗をさらに一般化してみようと思います。オームの法則に従えば、$R$の抵抗に電圧$V$を加えたときに流れる電流$I$は、
\begin{align} V=RI \end{align}
でありこれに倣ってもっと広い意味での抵抗$Z$を導入して、
\begin{align} Z=\dfrac{V}{I} \end{align}
となるような$Z$をインピーダンスといいます。ここで、インピーダンスは
\begin{align} Z=R+jX \label{impedance} \end{align}
($j$は虚数単位であり、電流$i$と重複するので$j$を用いています。) ここで、$R$はもともとの抵抗成分でありこれをレジスタンス(意味はそのままですね)、$X$をリアクタンスといいます。結局インピーダンスは電流の流れにくさを示す値になります。


電流の流れやすさを定義する

電流の流れやすさを定義します。流れにくさが、$\eqref{impedance}$式で表されたことに倣えば、その逆数が流れやすさでありこれも複素数の範囲で表せることになります。つまり、
\begin{align} Y&=\dfrac{I}{V}\nonumber \\ &=G+jS \end{align}
として、$Y$をアドミタンス、$G$をコンダクタンス、$S$をサセプタンスといいます。ちなみに単位は$\Omega$の逆数で、$S$(ジーメンス)といいます。

素子のリアクタンス

抵抗はそのままレジスタンス成分になります。問題はコンデンサとコイルです。

コイルは電圧が90度進むということを鑑みて、リアクタンスを
\begin{align} X_L&=\omega L Z&=j\omega L \end{align}
とします。直流が加わるときは$\omega=0$となり、コイルは定常状態(十分時間が経過)では短絡と同様であることがわかります。逆にコンデンサは電流が90度進むことを鑑みて、
\begin{align} X_C&=\dfrac{1}{\omega C}\\ Z&=\dfrac{1}{j\omega C} \end{align}
というリアクタンスになります。ここでも、$\omega=0$とした直流ではリアクタンスが無限大になります。


実際の回路解析

たとえば、コイル、コンデンサと抵抗を直列に接続して、電流$I$が流れるときの電圧$V$を求めたいと思います。コイル、コンデンサのインピーダンス値を抵抗のようにとらえてあとは普通の抵抗と同じように扱えばよいです。つまり、全体のインピーダンスは、
\begin{align} Z&=R+j\omega L+\dfrac{1}{j\omega C}\nonumber \\ &=R+j\left(\omega L-\dfrac{1}{\omega C}\right) \end{align}
つまり、電圧は
\begin{align} V&=\left\{R+j\left(\omega L-\dfrac{1}{\omega C}\right)\right\}I \end{align}
となります。結局複素数は位相をずらす成分にすぎないので大きさを考えてみましょう。インピーダンスの大きさは、
\begin{align} |Z|=\sqrt{R^2+\left(\omega L -\dfrac{1}{\omega C}\right)^2} \end{align}
次に、コンデンサとコイルを並列に接続し、さらに抵抗を直列に接続します。このときのインピーダンスは、
\begin{align} Z &=R+\dfrac{j\omega L \dfrac{1}{j\omega C}}{j\omega L+\dfrac{1}{j\omega C}}\nonumber \\ &=R+\dfrac{j\omega L}{1-\omega^2 LC} \end{align}
となります。
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