統計力学⑧ 統計性とスレーター行列式
フェルミオンの統計性からスレーター行列式を導く フェルミ粒子(フェルミオン)とボーズ粒子(ボゾン、ボソン)の違いとその違いが生じる由来を説明します。 多粒子系の波動関数を考える。 粒子の座標$\xi_i$,$i=1,2,\cdots ,N$の波動関数 \begin{align*} \Psi(\xi_1,\xi_2,\cdots ,\xi_N) \end{align*} を考えます。ここで、$\xi_i$というのは位置とスピンを合わせた座標です。ここで、$i\ne j$を満たす、$i,j$について置換を行う演算子$\hat{\sigma}_{ij}$を考えます。つまり、 \begin{align*} \hat{\sigma}_{ij}\Psi(\xi_1,\xi_2,\cdots ,\xi_i,\cdots,\xi_j,\cdots ,\xi_N) =\sigma_{ij} \Psi(\xi_1,\xi_2,\cdots \xi_j,\cdots,\xi_i,\cdots,\xi_N) \end{align*} ここで、$\sigma_{ij}$は定数です。もう一度$\hat{\sigma}_{ij}$を作用させてみましょう。 \begin{align*} &\hat{\sigma}^2_{ij}\Psi(\xi_1,\xi_2,\cdots ,\xi_i,\cdots,\xi_j,\cdots ,\xi_N) \\ &=\hat{\sigma}_{ij}\sigma_{ij} \Psi(\xi_1,\xi_2,\cdots \xi_j,\cdots,\xi_i,\cdots,\xi_N) \\ &=\sigma_{ij}^2\Psi(\xi_1,\xi_2,\cdots ,\xi_i,\cdots,\xi_j,\cdots ,\xi_N) \end{align*} そもそもなのですが、この式は$i$と$j$を入れ替えてもどしただけなので、元の関数$\Psi(\xi_1,\xi_2,\cdots ,\xi_i,\cdots,\xi_j,\cdots ,\xi_N)$と等しくなるはずです。つまり、 \begin{align*} \sigma^2=1 \end{a