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ベクトル解析⑫ ストークスの定理

ストークスの定理の証明・グリーンの定理との関係 ストークスの定理とは? ストークスの定理の示す内容 ストークスの定理 ベクトル値関数$\boldsymbol{F}(x,y,z)$について、単純閉曲線(自信と交わらない曲線)$C$と$C$が囲む領域$S$について、 \begin{align*} \iint_S (\nabla\times \boldsymbol{F})\cdot\boldsymbol{n}dS=\oint_C \boldsymbol{F}\cdot d\boldsymbol{r} \end{align*} ガウスの発散定理では、発散の体積分を面積分に直しましたが、ストークスの定理では回転の面積分を線積分に直すことができます。以下では、 \begin{align*} \boldsymbol{F}= {}^t \begin{pmatrix} F_x & F_y & F_z \end{pmatrix} \end{align*} とします。 ストークスの定理の直感的理解 証明というほど厳密に書くと読むのが大変なので、直感的な説明(おおざっぱな説明?)を紹介します。 ベクト$\boldsymbol{F}$の回転は、 \begin{align*} \nabla\times\boldsymbol{F}= {}^t \begin{pmatrix} \dfrac{\partial F_z}{\partial y}-\dfrac{\partial F_y}{\partial z} & \dfrac{\partial F_x}{\partial z}-\dfrac{\partial F_z}{\partial x} & \dfrac{\partial F_y}{\partial x}-\dfrac{\partial F_x}{\partial y} \end{pmatrix} \end{align*} となります。面$S$として、\(x^\prime\)~\(x^\prime+\Delta x\),\(y^\prime\)~\(y^\prime+

ベクトル解析⑩ グリーンの定理

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グリーンの定理とは? ここでも、逐次積分の考え方を用います。(参考: 逐次積分(ヤコビアンなど) ) グリーンの定理の使い方と面積 グリーンの定理とは? グリーンの定理 単純閉曲線(自分と交わらない閉曲線)$C$で囲まれた領域$S$を考えます。$C^1$級の任意の関数$P(x,y)$と$Q(x,y)$について、 \begin{align*} \oint_{C} (Pdx+Qdy)=\iint_{S}\left(\dfrac{\partial Q}{\partial x}-\dfrac{\partial P}{\partial y}\right)dxdy \end{align*} グリーンの定理の証明 以下のような経路$C$($=C_1+C_2$)を考えます。また、$C$に囲まれた領域を$S$とします。 関数Pについての線積分 まず、関数$P$の周回積分を変形することを考えます。ちなみに、$x$と$y$は互いに独立ではないので、片方を動かすと他方もうごくことになります。$x$を動かすことを考えて、$y$を$x$の関数と考えて処理しましょう。 $C_1$では$y=y_1(x)$,$C_2$上では$y=y_2(x)$とします。 \begin{align*} \oint_C P(x,y)dx &=\int_{C_1}P(x,y_1(x))dx+\int_{C_2}P(x,y_2(x))dx \\ &=\int_{x_2}^{x_1}P(x,y_1(x))dx+\int_{x_1}^{x_2}P(x,y_2(x))dx \\ &=-\int_{x_1}^{x_2}P(x,y_1(x))dx+\int_{x_1}^{x_2}P(x,y_2(x))dx \\ &=\int_{x_1}^{x_2}\left\{P(x,y_2(x))-P(x,y_1(x))\right\}dx \\ &=-\int_{x_1}^{x_2}\left(\int_{y_2(x)}^{y_1(x)}\dfrac{\partial P}{\partial y}dy\right)dx \\ &=-\int_S \df

ベクトル解析⑨ 体積分

体積分の計算方法とは? この記事では体積分を扱いますが、 面積分(球の面積の公式の導出) で紹介したような面積素を求めるような複雑な計算はあまりなく、ただの逐次積分で処理するのが一般的です。 また、ベクトル値関数の体積分というのも聞いたことはないです。 スカラー値関数の体積分 体積分の計算方法 体積分 スカラー値関数$f(x,y,z)$について、 \begin{align*} \iiint_V f(x,y,z)dxdydz \end{align*} を体積分といいます。3次元という意味で積分記号を3つつけています。 ただ、体積分は最初に述べた通り逐次積分やヤコビアンで計算します。 体積分の計算例題~球の体積~ 半径$a$の球を$V$として、この$V$上で$f=1$という関数を体積分して体積を求めましょう。 ヤコビアンの計算 以下のように球座標に変換します。 \begin{align*} x&=r \sin{\theta}\cos{\phi}\\ y&=r \sin{\theta}\sin{\phi}\\ z&=r \cos{\theta} \end{align*} このときのヤコビアンは、(参考: 逐次積分とヤコビアン ) \begin{align*} \begin{vmatrix} \dfrac{\partial x}{\partial r}&\dfrac{\partial x}{\partial \theta}&\dfrac{\partial x}{\partial \phi}\\ \dfrac{\partial y}{\partial r}&\dfrac{\partial y}{\partial \theta}&\dfrac{\partial y}{\partial \phi}\\ \dfrac{\partial z}{\partial r}&\dfrac{\partial z}{\partial \theta}&\dfrac{\partial z}{\partial \phi}\\ \end{vmatrix} = \begin{vmatrix} \sin{\theta}\cos{\phi}

ベクトル解析⑦ 線積分と曲線の長さを求める公式

線積分の計算方法とは? スカラー値関数、ベクトル値関数にわけて、線積分の計算方法を説明します。積分結果がスカラーで帰ってくるように定義すると考えれば計算方法を受け入れやすいかと思います。 以下、 \begin{align*} \boldsymbol{r}= {}^t \begin{pmatrix} x & y & z \end{pmatrix} \end{align*} としています。 線積分とは? 線積分とは普通の積分を一般の積分経路に拡張したと考えればよいでしょう。たとえば、一般の積分 \begin{align*} \int_0^1 f(x)dx \end{align*} というと積分経路が$x$軸上ということになります。この積分経路がたとえば、単位円上だったらどうなるでしょうか?という感じの話です。 スカラー値関数の線積分 スカラー値関数の線積分の計算方法 スカラー値関数の線積分 位置座標$\boldsymbol{r}$を$t$$(a\leq t \leq b)$でパラメータ付けして、 \begin{align} \int_a^b f(t)\left\|\dfrac{d\boldsymbol{r}}{dt}\right\|dt \label{eq:1} \end{align} 線積分の計算例題 たとえば、$C$:$y=x^2$$(0\leq 1)$に沿って、関数$f(x,y,z)=x^2(1+y)$を積分しましょう。 まずは積分経路をパラメータ$t$を使って表します。表し方には複数通りあると思いますが、たとえば、$0\leq t\leq 1$として、 \begin{align*} \boldsymbol{r}= {}^t \begin{pmatrix} x & y & z \end{pmatrix} = {}^t \begin{pmatrix} t & t^2 & 0 \end{pmatrix} \end{align*} ここで、 \begin{align*} \left\|\dfr

ベクトル解析⑥ 勾配・回転・発散

勾配・回転・発散の定義 ナブラを用いて勾配・回転・発散を定義します。 勾配(gradient)の定義と計算方法 勾配の定義とは? 勾配 スカラー値関数$f$$=f(x,y,z)$に対して、 \begin{align*} \text{grad}f\stackrel{def}{=}\nabla f= {}^t\begin{pmatrix} \dfrac{\partial f}{\partial x} & \dfrac{\partial f}{\partial y} & \dfrac{\partial f}{\partial z} \end{pmatrix} \end{align*} 勾配の意味とは? スカラー値関数の勾配はある点での変化の方向を表しているといえます。勾配が零(正確には零ベクトル)になる条件を考えると、 \begin{align*} \dfrac{\partial F_x}{\partial x}= \dfrac{\partial F_y}{\partial y}= \dfrac{\partial F_z}{\partial z}=0 \end{align*} となります。 回転(rotation)の定義と計算方法 回転の定義とは? 回転 ベクトル値関数$\boldsymbol{F}$に対して、以下のように定義されます。 \begin{align*} \text{rot}\boldsymbol{F}=\nabla\times\boldsymbol{F}= \begin{pmatrix} \dfrac{\partial F_z}{\partial y}-\dfrac{\partial F_y}{\partial z} \\ \dfrac{\partial F_x}{\partial z}-\dfrac{\partial F_z}{\partial x} \\ \dfrac{\partial F_y}{\partial x}-\dfrac{\partial F_x}{\partial y} \end{pmatrix} \end{align*} 回転の意味

ベクトル解析⑤ ナブラ・ラプラス演算子とは?

ナブラ・ラプラス演算子とは? 3次元の解析を扱うときに、しょっちゅう使うナブラについて使い方を紹介します。 ナブラとは? まずはナブラを定義します。 ナブラ 以下で定義される$\nabla$をナブラといいます。 \begin{align*} \nabla\stackrel{def}{=}{}^t\begin{pmatrix}\dfrac{\partial}{\partial x} & \dfrac{\partial}{\partial y} & \dfrac{\partial}{\partial z} \end{pmatrix} \end{align*} ただし、${}^t$は転置を表します。 ※いま、転置を使って表しているのは、縦ベクトルにするとスペースを使ってしまうからで本当は縦ベクトルです。書籍等でもよく用いられているのでここでも使ってみました。 ナブラの具体的な計算例題 ナブラは先ほど紹介したようにベクトルとして扱います。たとえば、スカラー値関数$f$に対して、 \begin{align*} \nabla f ={}^t \begin{pmatrix} \dfrac{\partial f}{\partial x} & \dfrac{\partial f}{\partial y} & \dfrac{\partial f}{\partial z} \end{pmatrix} \end{align*} のようにあらわされます。また、ベクトル値関数$\boldsymbol{v}$に対しては、内積のような形で計算され、 \begin{align*} \nabla\cdot \boldsymbol{v}=\dfrac{\partial v_x}{\partial x}+\dfrac{\partial v_y}{\partial y}+\dfrac{\partial v_z}{\partial z} \end{align*} というようにあらわされます。 ナブラの二乗?ラプラス演算子 ラプラス演算子(ラプラシアン)は以下の様に定義されます。 ラプラス演算子 以下で定義される$\nabla$をラプ

ベクトル解析④ スカラー三重積

スカラー三重積とは? スカラー三重積は幾何学的な解釈ができます。以下、特に指定しなければ \begin{align*} \boldsymbol{a}&=\begin{pmatrix}a_x \\ a_y \\ a_z\end{pmatrix}\\ \boldsymbol{b}&=\begin{pmatrix} b_x \\ b_y \\ b_z \end{pmatrix} \\ \boldsymbol{c}&=\begin{pmatrix} c_x \\ c_y \\ c_z \end{pmatrix} \end{align*} として説明を進めています。 スカラー三重積とは? スカラー三重積 \begin{align} \boldsymbol{a}\cdot(\boldsymbol{b}\times\boldsymbol{c}) \label{eq:1} \end{align} をスカラー三重積といいます。 スカラー三重積の幾何学的意味 スカラー三重積(の絶対値)は3つのベクトル$\boldsymbol{a}$, $\boldsymbol{b}$, $\boldsymbol{c}$がつくる平行六面体の体積になります。 たとえば、簡単な例として、 \begin{align*} \boldsymbol{a}&=\begin{pmatrix}3 \\ 0\\ 0\end{pmatrix}\\ \boldsymbol{b}&=\begin{pmatrix} 0 \\ 2 \\ 0 \end{pmatrix} \\ \boldsymbol{c}&=\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 5 \end{pmatrix} \end{align*} として計算してみます。これらのベクトルがつくる平行六面体は、横3、縦2、高さ5の直方体です。 \begin{align*} |\boldsymbol{a}\cdot(\boldsymbol{b}\times\boldsymbol{c})| &= \left| \begin{pmatrix} 3 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix} \cdot

ベクトル解析③ ベクトル三重積

ベクトル三重積の公式の証明 特殊な性質があるので、ベクトル三重積というものを紹介します。 以下のベクトルを用いて証明を進めます。 \begin{align*} \boldsymbol{a}&=\begin{pmatrix}a_x \\ a_y \\ a_z\end{pmatrix}\\ \boldsymbol{b}&=\begin{pmatrix} b_x \\ b_y \\ b_z \end{pmatrix} \\ \boldsymbol{c}&=\begin{pmatrix} c_x \\ c_y \\ c_z \end{pmatrix} \end{align*} ベクトル三重積とは? ベクトル三重積の定義 ベクトル三重積 以下の式をベクトル三重積といいます。 \begin{align} \boldsymbol{a}\times(\boldsymbol{b}\times\boldsymbol{c}) \label{eq:1} \end{align} ベクトル三重積の成分表示 この後の証明で使うので、具体的な成分を表示しておきます。後で紹介する証明は基本的には成分ごとにばらすしか方法がありません。 \begin{align} \boldsymbol{a}\times(\boldsymbol{b}\times\boldsymbol{c}) &= \boldsymbol{a}\times \begin{pmatrix} b_yc_z-b_zc_y \\ b_zc_x-b_xc_z \\ b_xc_y-b_yc_x \end{pmatrix} \nonumber \\ &= \begin{pmatrix} a_y(b_xc_y-b_yc_x)-a_z(b_zc_x-b_xc_z) \\ a_z(b_yc_z-b_zc_y)-a_x(b_xc_y-b_yc_x) \\ a_x(b_zc_x-b_xc_z)-a_y(b_yc_z-b_zc_y) \end{pmatrix} \label{eq:2} \end{align} ベクトル三重積の公式 ベクトル三重積について成り立っている公式をまとめて紹

ベクトル解析② 外積とは?外積の意味と性質

外積の公式と面積との関係 以下の二つのベクトルを用いて話を進めていきます。 \begin{align*} \boldsymbol{a}&=\begin{pmatrix}a_x \\ a_y \\ a_z\end{pmatrix}\\ \boldsymbol{b}&=\begin{pmatrix} b_x \\ b_y \\ b_z \end{pmatrix} \end{align*} 外積の定義と意味 外積の定義とは? 外積は以下のように定義されます。 外積 \begin{align} \boldsymbol{a}\times\boldsymbol{b} = \begin{pmatrix} a_yb_z-a_zb_y\\ a_zb_x-a_xb_z\\ a_xb_y-a_yb_x \end{pmatrix} \end{align} 結構複雑な計算ですね。というわけで以下のように行列式での計算方法もいろんなところで見かけます。あくまで便宜上こう計算するといいよねっていう話ですが。行列式の計算方法は次の記事をご覧ください。(参考: 行列式の定義・性質とサラスの公式 ) \begin{align*} \boldsymbol{a}\times \boldsymbol{b}=\begin{vmatrix} \boldsymbol{e_x} & \boldsymbol{e_y} & \boldsymbol{e_z} \\ a_x & a_y & a_z \\ b_x & b_y & b_z\end{vmatrix} \end{align*} ちなみに計算結果はベクトルになります。というわけで,内積がスカラー積とも呼ばれるようにこちらは ベクトル積 ともいいます。また,内積がドット積と呼ばれるのに倣って クロス積 と呼ばれたりします。 外積の意味 内積が$\cos{\theta}$と関連していたように,外積には以下の様な関係があります。 外積の幾何学的意味 \begin{align} \|\boldsymbol{a}\times \boldsym

ベクトル解析⑤補足: 球座標のラプラシアン

球座標のラプラシアン ラプラシアン、またはラプラス演算子とは微分方程式を解いているとたびたび出てくるのでここに計算を置いておきます。(参考: ナブラ・ラプラス演算子とは? ) 球座標のラプラシアンの表式 球座標のラプラシアン \begin{align*} \nabla^2&=\dfrac{\partial^2}{\partial x^2}+\dfrac{\partial^2}{\partial y^2}+\dfrac{\partial^2}{\partial z^2}\nonumber \\ &=\dfrac{1}{r^2}\dfrac{\partial}{\partial r}\left(r^2\dfrac{\partial}{\partial r}\right)+\dfrac{1}{r^2\sin{\theta}}\dfrac{\partial}{\partial \theta}\left(\sin{\theta}\dfrac{\partial}{\partial \theta}\right)+\dfrac{1}{r^2\sin^2{\theta}}\dfrac{\partial^2}{\partial \phi^2} \end{align*} これだけ複雑な式なので丸暗記はきついですが、導出もきついです... 球座標のラプラシアンの導出 球座標と直交座標の関係は以下のように表されたのでした。 \begin{align*} x &= r\sin{\theta}\cos{\phi}\\ y &= r\sin{\theta}\sin{\phi}\\ z &= r\cos{\theta} \end{align*} これを逆に$ r,\phi,\theta $を$ x,y,z $で表すと、 \begin{align*} r &= \sqrt{x^2+y^2+z^2}\\ \phi &= \tan^{-1}{\dfrac{y}{x}}\\ \theta &= \tan^{-1}{\dfrac{\sqrt{x^2+y^2}}{z}} \end{align*} ここで、偏微分について、chain ruleより、 \begi

ベクトル解析⑧ 面積分(球の表面積の公式の導出)

面積分で球の表面積を導出 スカラー値関数の面積分 スカラー値関数の面積分の計算方法 スカラー値関数の面積分 変数$u$,$v$で指定され、$\boldsymbol{r}$で表される曲面$S$$=S(u,v)$を考えます。$f$をスカラー値関数として、面積分を \begin{align*} \int_S f(\boldsymbol{r})dS=\iint f(\boldsymbol{r})\left\|\dfrac{\partial \boldsymbol{r}}{\partial u}\times \dfrac{\partial \boldsymbol{r}}{dv}\right\|du\ dv\ \end{align*} と計算します。 ここでは、ノルムを用いています。(参考: 内積とノルム ) 面積素の導出 まず、前提として... 一般に面というのは2次元、つまり、基本的に2変数あれば指定できることになります。 (ぐちゃぐちゃな面を考えれば無理かもしれませんが、局所的(狭い範囲)では2変数で指定できるでしょう。) $\boldsymbol{r}(u,v)$,$\boldsymbol{r}(u+\Delta u,v)$,$\boldsymbol{r}(u,v+\Delta v)$,$\boldsymbol{r}(u+\Delta u,v+\Delta v)$で囲まれた領域の面積を求めます。$\Delta u$と$\Delta v$が微小として、この領域の面積$\Delta S$を平行四辺形として近似して求めます。 \begin{align} \Delta S&=\left\|(\boldsymbol{r}(u+\Delta u,v)-\boldsymbol{r}(u,v))\times (\boldsymbol{r}(u,v+\Delta v)-\boldsymbol{r}(u,v))\right\| \nonumber \\ &=\left\|\dfrac{\boldsymbol{r}(u+\Delta u,v)-\boldsymbol{r}(u,v)}{\Delta u}\times \dfrac{\boldsymbol{r}(u,v+\Delta v)-

ベクトル解析⑨ ガウスの発散定理

ガウスの発散定理の証明 ガウスの発散定理(ガウスの定理)とは? ガウスの発散定理 \begin{align} \iiint_V \nabla\cdot \boldsymbol{F}dxdydz=\iint_S \boldsymbol{F}\cdot \boldsymbol{n}dS \label{eq:3.1} \end{align} ただし,\(V\)は3次元空間で,\(S\)は\(V\)を囲む閉面です。つまり,左辺は\(\nabla\cdot\boldsymbol{F}\)の空間\(V\)にわたる体積分であり,右辺は\(\boldsymbol{F}\)の\(S\)上の面積分です。また,\(\boldsymbol{n}\)は面\(S\)の法線ベクトルです。 物理ではマクスウェル方程式のガウスの法則(名前はこの定理と関係あるかも?)を扱うのによく使います。(参考: マクスウェル方程式とローレンツ力の式 ) ガウスの発散定理の大まかな証明 いま,\(V:x\)~\(x+dx\),\(y\)~\(y+dy\),\(z\)~\(z+dz\)という微小な直方体を考えます。ここで,\eqref{eq:3.1}の左辺の積分の中身について考えると,\(\boldsymbol{F}={}^t(F_x,F_y,F_z)\)として, \begin{align} \left(\dfrac{\partial F_x}{\partial x}+\dfrac{\partial F_y}{\partial y}+\dfrac{\partial F_z}{\partial z}\right)dxdydz \label{eq:3.2} \end{align} \eqref{eq:3.1}の右辺の積分の中身を考えます。今考えている直方体の面は6つで,\(x\)軸に垂直な面は2つ,\(y,z\)軸についても同様に2つずつ垂直な面があります。たとえば,\(x\)軸に垂直な面を考えると,\(x,x+dx\)にある二つの面を考えることになります。この面については,\(dS=dydz\)です。微小空間なので,\(F_x\)の値が\(y,z\)に対して変化しないと考えると, \begin{alig

ベクトル解析① 内積とノルム

内積の計算方法とは? 内積というのは定義の仕方が実は一通りではなく、内積の公理を満たすものを一般に内積と呼びます。(参考: 内積空間と内積の公理 ) ここでは最もよく使うベクトルに対する内積を紹介します。 内積の定義と性質 ベクトルの記法 ベクトルというものの記法を改めて書いておきます。上に矢印をつけて表すこともありますが,以降は太字で表記をします。 \begin{align*} (\vec{a}=)\boldsymbol{a}=\begin{pmatrix} a_x \\ a_y \\ a_z\end{pmatrix} \end{align*} 以下の二つのベクトルを用いて話を進めていきます。 \begin{align*} \boldsymbol{a}&=\begin{pmatrix}a_x \\ a_y \\ a_z\end{pmatrix}\\ \boldsymbol{b}&=\begin{pmatrix} b_x \\ b_y \\ b_z \end{pmatrix} \end{align*} 内積の定義 内積の演算はドット「$\cdot$」を用いて表します。以下のように定義します。 内積 \begin{align} \boldsymbol{a}\cdot\boldsymbol{b}\stackrel{\rm{def}}{=} a_xb_x+a_yb_y+a_zb_z \label{eq:1} \end{align} このようにベクトルの内積はスカラーになるので, スカラー積 ともいいます。また, 演算にドットを用いるので ドット積 ということもあります。 内積の性質とは? \eqref{eq:1}から明らかなのですが、 \begin{align*} \boldsymbol{a}\cdot\boldsymbol{b}=\boldsymbol{b}\cdot\boldsymbol{a} \end{align*} というように交換します。また,任意のベクトルに対して, \begin{align*} \boldsymbol{a}\cdot\boldsymbol{a}=a_x^2+a_y^2+a_z^2\geq 0 \end{align*} という性質があります。 ノル