量子力学⑯補足③ 連続の式(ディラック方程式)
ディラック方程式の流れは? シュレディンガー方程式やクラインゴルドン方程式と同様に連続の式と比べてみたいと思います。 ディラック方程式と連続の式 ディラック方程式 \begin{align} \left(i\gamma^\mu\partial_\mu-\dfrac{mc}{\hbar}\right)\psi=0 \label{eq-quantum163:1} \end{align} ただし、ガンマ行列$\gamma^\mu$は計量テンソル$\eta^{\mu\nu}$に対して、 \begin{align} \gamma^\mu\gamma^\nu+\gamma^\nu\gamma^\mu=2\eta^{\mu\nu} \label{eq-quantum163:2} \end{align} を満たします。 また、連続の式は以下の式です。 \begin{align} \dfrac{\partial\rho}{\partial t}+\nabla\cdot\boldsymbol{j}=0 \label{eq-quantum163:3} \end{align} ディラック共役を定義する ディラック共役を以下のように定義します。 ディラック共役$\bar{\psi}$ \begin{align*} \bar{\psi}=\psi^\dagger \gamma^0 \end{align*} さて、これらは行列として扱っているので順番は入れ替え不可能なことに注意してください。さて、なぜこのように定義するかというとローレンツ共変性を課すため、なのですが、その詳細な説明は複雑なのでここではしません。 ディラック方程式を変形する 以下の計算ではガンマ行列は定数行列であることに注意してください。 左からディラック共役をかける ディラック方程式\eqref{eq-quantum163:1}の左から$\bar{\psi}=\psi^\dagger\gamma^0$をかけてみます。 \begin{align*} \bar{\psi}\left(i\gamma^\mu\partial_\mu - \dfrac{mc}{\hbar}\right