力学① 運動方程式 このエントリーをはてなブックマークに追加

ニュートンの運動方程式とは?その立て方

ニュートンの運動方程式を紹介します。(高校では$ma=F$という形で習ったものです。)ただ,これを微分方程式として操る必要があります。また,運動量などの物理量は運動方程式と結ぶつけて考えられるとなおよいかと。

ニュートンの運動方程式のベクトル表記

ニュートンの運動方程式
物体の位置を表すベクトル$\boldsymbol{x}$,物体にはたらく外力$\boldsymbol{F}$について
\begin{align*}m\dfrac{d^{2}\boldsymbol{x}}{dt^{2}}=\boldsymbol{F} \end{align*}
運動方程式は力学を解析的に考察するための基本方程式です。 一般に,位置:$\boldsymbol{x}$ 速度:$\boldsymbol{v}$ 加速度:$\boldsymbol{a}$  時刻:$t$ として設定します。位置,速度,加速度はベクトル量です。ちなみに,ベクトルの微分は全成分をそれぞれ微分してあげればよいです。(後の記事で詳しく説明しています)

$x$を$t$で微分すると$v$、$v$を$t$で微分すると$a$となります。 以下、いったん積分定数をすべて0として計算します。

運動量を導出する

外力$F$を一定だとしてみます。運動方程式の辺々を時刻$t$で積分すると、
\begin{align*}m\dfrac{d\boldsymbol{x}}{dt}=m\boldsymbol{v}=\boldsymbol{F}t\end{align*}
これ、どこかで見たことありませんか? 力積と運動量の関係式ですね。つまり,運動量は運動方程式から導かれます

位置と加速度の関係を導出する

先ほど運動方程式はベクトルといっていましたが,一つの軸だけを考える,つまり1次元の$x$方向で考えましょう。たとえば,重力のように外力$F$が一定のとき,加速度は一定ですね。つまり,速度$v$は$v=at$のように表せます(ここでも積分定数は無視しています。)

同様に,$v$は$x$を$t$で微分したものですから、$v$を$t$で積分すると、$x$になりますね。 こうして、$v=at$を両辺$t$で積分すると、
\begin{align*} x=\dfrac{1}{2}at^{2} \end{align*}
となります。(また,積分定数は無視しています。)この式も見たことあるのではないでしょうか。 これまではいわゆる積分定数(初期位置とか初期速度)を無視してきたので次にこれを含めて考えます。

運動方程式の簡単な解き方

まずは、運動方程式から出発しましょう。ただし,外力$F$は一定とします。
\begin{align*} m\dfrac{d^{2}x}{dt^{2}}=F \end{align*}
この辺々を$t$で積分して、
\begin{align*} \dfrac{dx}{dt}=\displaystyle\int \dfrac{F}{m} dt=\dfrac{F}{m}t+v_{0} \end{align*}
さらにこの辺々を$t$で積分して、
\begin{align*} x &=\int \left(\dfrac{F}{m}t+v_{0}\right)dt \\ &=\dfrac{F}{2m}t^{2}+v_{0}t+x_{0} \end{align*}
ここで、$x_{0},v_{0}$はそれぞれ初期位置、初期速度を表しています。 高校物理で最初に習った公式が導かれました!こんなふうに力学の基礎は運動方程式から派生しています。

[前の記事へ]


このエントリーをはてなブックマークに追加