微分積分⑨ 偏微分とは?
偏微分とは?常微分との違いは?
微分積分学から偏微分の概念について紹介します。偏微分とはなにか?
偏微分とは、多変数関数の特定の文字による微分のことです。以下の例を見てみましょう\begin{align*}
u(x,y)=x^{2}+y^{2}
\end{align*}
二つの変数を持つ多変数関数ですね。今までに習ったように$x$で微分してみましょう。(いわゆる常微分)
\begin{align*}
\dfrac{du(x,y)}{dx}=2x+\dfrac{dy}{dx}\dfrac{d}{dy}(y^{2})=2x+\dfrac{dy}{dx}2y
\end{align*}
実はこれは暗に$y$$=y(x)$、つまり、$y$は$x$の関数だと考えて、微分をしています。
偏微分の記号とは?
次に、偏微分をしてみます。偏微分の記号は$d$ではなく$\partial$であらわされ、\begin{align*}
\dfrac{\partial u(x,y)}{\partial x}=2x
\end{align*}
となります。いま、$x$と$y$は互いに独立だと考えて、$x$で微分する際には$y$は定数とみて、無視しています。計算自体は簡単にできるようになります。
偏微分の数式的定義
いま、2つ変数があるのですが、片方の変数は定数として動かさずに考えます。$x$についての偏導関数は、\begin{align*}
\dfrac{\partial f(x,y)}{\partial x}=\lim_{h\to 0}\dfrac{f(x+h,y)-f(x,y)}{h}
\end{align*}
と定義できます。ちなみにこの式を$f_x$というようにあらわすことがあります。
偏微分の意味とは?
$x$で偏微分するとは、$x$方向の変化のみを求めている、ということです。たとえば、教科書にはよく\begin{align*}z=u(x,y)\end{align*}
と表された曲面が載っていると思います。これを$y$が一定となる面($xz$平面と平行な面)で切れば、断面は$x$の関数$z$で現れる、ということです。
偏微分では成り立たない式
常微分では以下の式が成り立ちました。\begin{align*}\left(\dfrac{dy}{dx}\right)^{-1}=\dfrac{dx}{dy}\end{align*}
これは偏微分では必ずしも成り立つとは限りません。
このような関係は左辺と右辺で固定している量が等しいときのみ成り立ちます。