力学⑥ 弾性体
ひずみ、弾性率とは?
まずひずみという量を考えましょう。この量は無次元であることが最も重要に思います。たとえば、長さ$l$の物体が$\Delta l$だけ長さが変化すれば、そのひずみは、\begin{align*}\varepsilon=\dfrac{\Delta l}{l}\end{align*}
となります。また、弾性体の分野では応力というものを考えます。別に何も難しいことはなく、物体を縮める方向に働く圧力と、物体を伸ばす方向に働く張力、その他諸々をまとめて応力と呼ぶだけです。以下、応力を$f$と表記しますが、この次元は、「力/面積」です。次に応力$f$とひずみ$\varepsilon$から弾性率を定義します。
ヤング率
弾性体を伸び縮みする方向に変化させるような応力がはたらいたとき、定数$E$に対してヤング率と応力の関係
\begin{align*}f=E\varepsilon\end{align*}
ずれ弾性率(剛性率)
弾性体をずらす方向(平面に接する方向)に応力を与えたとき、定数$G$に対して、ずれ弾性率と応力の関係
\begin{align*}f=G\varepsilon \end{align*}
体積弾性率
弾性体に対して、全体に均等な応力がはたらいたとき、定数$k$に対して、体積弾性率と応力の関係
\begin{align*}f=-k\varepsilon\end{align*}
\begin{align*}\varepsilon=\dfrac{\Delta V}{V}\end{align*}
となっています。とはいえ、やはり無次元の量です。この体積弾性率がでてくるのはたとえば水圧とか。(体積が十分小さいとして一様な圧力がはたらいているとする必要がありますが...)
体積弾性率の定義の覚え方
$k$の前のマイナスについて説明します。これを考えるのに重要なことは、・物理定数は基本的に正の数値であること
・一般的にこの定数を考える状況は$\Delta V\lt0$、つまり$\varepsilon\lt 0$
ということから、マイナスをつけておいたほうが都合がよいことがわかります。