微分積分⑥ オイラーの公式
オイラーの公式をマクローリン展開で導出する
波を三角関数で書かずにオイラーの公式を用いるようになっています。オイラーの公式と複素数平面上の極形式との関係
オイラーの公式
虚数単位を$i$として
という式です。これは複素数平面の極形式と同じ形をしていますね。
\begin{align*}
e^{i\theta}=\cos{\theta}+i \sin{\theta}
\end{align*}
オイラーの公式のマクローリン展開による証明
指数関数をマクローリン展開する
わりと簡単に導出できます。指数に虚数単位$i$が含まれていますが、虚数単位はあくまで定数です。つまり、左辺を$\theta$で微分すると\begin{align*}
\dfrac{d}{d\theta}e^{i\theta}=ie^{i\theta}
\end{align*}
こんな感じで今まで扱ってきた実数の微分と同じように扱えます。というわけで、左辺をマクローリン展開してみましょう。(参考:テイラー展開・マクローリン展開) まず、先に$e^{x}$のマクローリン展開を示しておきます。
\begin{align*}e^{x}= 1+\dfrac{1}{1!}x+\dfrac{1}{2!}x^{2}+\cdots=\displaystyle \sum_{k=0}^\infty \dfrac{1}{k!}x^{k}\end{align*}
ここに、$x=i\theta$を代入すると、
\begin{align*}e^{i\theta}= 1+\dfrac{1}{1!}i\theta-\dfrac{1}{2!}\theta^{2}-i\dfrac{1}{3!}\theta^{3}+\cdots\end{align*}
これを実部と虚部に整理すると、
\begin{align*}e^{i\theta}=\left(1-\dfrac{1}{2!}\theta^{2}+\dfrac{1}{4!}\theta^{4}-\cdots\right)+i\left(\theta-\dfrac{1}{3!}\theta^{3}+\dfrac{1}{5!}-\cdots\right)\end{align*}
三角関数のマクローリン展開を用いる
これを、和の$\Sigma$を用いて表せば、\begin{align*}e^{i\theta}=\displaystyle \sum_{k=0}^{\infty} \dfrac{(-1)^{k}}{(2k)!}\theta^{k}+\ i \displaystyle \sum_{k=0}^{\infty} \dfrac{(-1)^{k}}{(2k+1)!}\theta^{2k+1}\end{align*}
ここで、$\sin{x}$と$\cos{x}$のマクローリン展開は以下のようになります。
三角関数のマクローリン展開
と表されるので、
\begin{align*}
\cos{x}&=1-\dfrac{1}{2!}x^{2}+\dfrac{1}{4!}x^{4}-\cdots=\displaystyle\sum_{k=0}^\infty \dfrac{(-1)^{k}}{(2k)!}x^{2k}\\
\sin{x}&=x-\dfrac{1}{3!}x^{3}+\dfrac{1}{5!}x^{5}-\cdots=\displaystyle\sum_{k=0}^\infty \dfrac{(-1)^{k}}{(2k+1)!}x^{2k+1}
\end{align*}
\begin{align*}e^{i\theta}=\cos{\theta}+i\sin{\theta}\end{align*}
が導かれます。
オイラーの公式の使い道
何が便利かというとやはりネイピア数(自然対数の底)で複素数が表現できるということですね。微分すると元に戻る関数といえば、$e^{x}$がありますが、三角関数$\sin{x},\cos{x}$は複数回微分すると元の形に戻ります。というわけで、実は三角関数は$e^{x}$と強いかかわりがある、ということです。
オイラーの公式の絶対値の計算
オイラーの公式の絶対値は1です。\begin{align*}
\text{複素数の絶対値}=\sqrt{(\text{実部})^{2}+(\text{虚部})^{2} \ }\end{align*}
です、意外と盲点なのです。