集合論①写像の種類 単射 全射 全単射
写像の意味とは?
数学で扱う、「写像」とは二つの集合があるときのそれぞれの要素の対応をいいます。英語ではmapとかmappingといいます。が、実は「関数」という考え方とほぼ同義と思ってよいと思います。単射・全射・全単射の定義
写像の種類
写像$f:X↦Y$に対して、
- 単射 $X$の要素$x$の値が違うなら対応する$Y$の値も異なる
- 全射 どんな$Y$の要素$y$をとっても、対応する$X$の要素$x$が存在する。
- 全単射 単射かつ全射な写像
単射・全射・全単射の例
- 「単射であるが、全射ではない」
- 「全射であるが、単射ではない」
- 「全射かつ単射、つまり全単射」
- 「全射でも単射でもない」
$y=2^{x}$
同じ値$yを出力するx$はないはずです。 一般に、連続かつ単調増加な関数は$x$の値が違えば$y$も違います よって、単射です。 全射ではないことは「どんな$y$を考えても、それを満たす$x$が存在するか?」を考えればいいわけです。 今回、集合$Y$として実数全体を考えているのですが、指数関数の値域は正の実数です。 つまり、$y=-1$を満たす$x$の値は存在しません。 よって全射ではありません。
$y=\tan{x}$
どんな$y$の値に対してもそれを満たす$x$は存在します。 しかし、これは周期関数ですから、$y$の値に対して、それを満たす$x$は複数存在します。
$y=x$
$x$の一次関数は全単射です。 もう言うまでもないかな。
$y=\sin{x}$
$y=2$を満たす$x$は存在しないし、$y=0$となる$x$はいくらでもありますね。
単射・全射・全単射判定の例題
$X,Y$を実数全体としたときに、以下は全射、単射、どちらでもない、全単射のどれでしょうか。$$ \begin{align*} (1)y&=\log{x}\\ (2)y&=x^{2} \end{align*}$$
(答)
(1)全単射...($x$が0や負のときは定義されませんが、$y$が実数全体をとる、ということが重要です。)
(2)全射でも単射でもない...($x=1,-1のときy$は同じ値ですし、$y$が負のときは$x$は実数でなくなるので)