熱力学③ 熱力学第一法則 このエントリーをはてなブックマークに追加

熱力学第一法則とは?

大学で習う熱力学第一法則は少し微分を意識して書いてありますが,意味としては今までと変わりません。

熱力学第一法則の式は?

熱力学第一法則はエネルギーの保存を表す法則で、
熱力学第一法則
\begin{align} dU=d^{\prime}Q + d^{\prime}W \label{eq:1} \end{align}
と表されます。$U$は内部エネルギー、$Q$は系に加えられた熱量、$W$は系がされた仕事で、その微小量を考えています。(微小量を考えたほうが都合が良いので)

いま、$Q$と$W$には微小量の記号を$d^\prime$としていますが、これは非状態量なのでこのようにしています。

また、$d^\prime W$は$d^\prime W=-p_{外}V$と表されます。ここで、$p_{外}$は外界の圧力ですが、もし外圧を使わずに系の圧力で書いてしまうと、外圧が0の真空で系の圧力が0でないような,自由膨張で仕事が発生することになり不都合になります。というわけで、\eqref{eq:1}をかきなおすと、
\begin{align} dU=d^\prime Q-p_{外}dV \label{eq:2} \end{align}
となります。これで非状態量が一つ減りました。ただし,先ほどの述べた自由膨張を除く,多くの場合では力のつり合いを保ちながら変化するので、その場合には、系の圧力$p$に対して、常に$p_{外}=p$が成り立っていると考えることができます。




定積熱容量を新しく導入する

ここで、定積熱容量$C_V$を導入します。厳密にはこれは定数ではないですが、いまは定数だと考えましょう。(熱力学の範囲では定数と考えていることが多いような気がします。)このとき、微分項の右下に一定に保っている量を記すことにすれば,体積一定で維持したままの吸収熱と温度の関係は
\begin{align} \left(\dfrac{d^\prime Q}{dT}\right)_V &=C_V\\ \therefore d^\prime Q&=C_V dT\ \ (\text{体積一定}) \end{align}
が成り立ちます。これを\eqref{eq:2}式に代入すれば、
\begin{align} dU&=C_V dT-p_{外}dV \label{eq:5} \end{align}

状態量の全微分を取ってみる

ところで、内部エネルギーの全微分から、
\begin{align} dU&=\left(\dfrac{\partial U}{\partial T}\right)_V dT+\left(\dfrac{\partial U}{\partial V}\right)_T dV \end{align}
となります。これを\eqref{eq:5}式と比較すれば、
\begin{align} \left(\dfrac{\partial U}{\partial T}\right)_V&=C_V\\ \left(\dfrac{\partial U}{\partial V}\right)_T&=-p_{外} \end{align}
という関係が導かれます。



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