関数解析⑦ ヒルベルト空間 このエントリーをはてなブックマークに追加

ヒルベルト空間とは?

ヒルベルト空間は無限大次元のベクトル空間とか言われますがそれは定義ではなく導ける性質のひとつにすぎません。

ヒルベルト空間の定義

ヒルベルト空間
内積から誘導されるノルムに関して完備になる(バナッハ空間になる)ような空間

ヒルベルト空間の例

$\|x\|=\sqrt{(x,x)}$というように定義するのが一般的です。この内積を以下のように定義します。連続関数の集合$C$に対して、関数$f,g\in C$を考えます。
\begin{align} \braket{f,g}=\int_{-\infty}^\infty f^*(x)g(x) dx \label{eq:1} \end{align}
(まあ、右辺が存在するかは怪しいですが一旦存在するものだけを考えることにしましょう。 ) この内積が内積の公理を満たすことが簡単に示せます。

内積の公理を満たすことの確認

$f,g,h\in C$について、以下のように内積の公理が示せます。係数$\alpha$を用いています。
\begin{align*} \braket{f,g+h} &=\int_{-\infty}^\infty f^*(x)[g(x)+h(x)]dx\\ &=\int_{-\infty}^\infty f^*(x)g(x)dx+\int_{-\infty}^\infty f^*(x)h(x)dx\\ &=\braket{f,g}+\braket{f,h} \\ \braket{f,\alpha g} &=\alpha \int_{-\infty}^\infty f^*(x)g(x)dx \\ &=\alpha\braket{f,g} \\ \braket{f,f} &=\int_{-\infty}^\infty |f(x)|^2dx\geq0 \ \ (\text{等号成立は}f(x)=0) \\ \braket{f,g}^* &=\left(\int_{-\infty}^\infty f^*(x)g(x)dx\right)^* \\ &=\int_{-\infty}^\infty g^*(x)f(x)dx \\ &=\braket{g,f} \end{align*}
これで$\braket{f,g}$を内積としてよいことになります。さて、ここでノルムを
\begin{align*} \|\psi\|=\sqrt{\braket{\psi,\psi}}=\left(\int_{-\infty}^\infty \psi^*(x)\psi(x)dx\right)^\frac{1}{2} \end{align*}
のように定めることができます。

量子力学の波動関数の規格化とノルム

波動関数の規格化はノルムを1としているのと同じことがわかります。
\begin{align*} \|\psi\|=1 \end{align*}




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