光学① フェルマーの原理と光路長 このエントリーをはてなブックマークに追加

フェルマーの原理

光学で基本となる考え方にフェルマーの原理というものがあります。ただ、これは実質作用積分です。物理現象は作用積分に対する最小作用の原理から導かれるという話にのっとることができて、理論的にきれいになるので、フェルマーの原理から作用積分を示したいと思います。

フェルマーの原理と光路長

フェルマーの原理と光路長
パラメータ$s$で指定される位置で、積分
\begin{align*} I=\int_{s_1}^{s_2}n(s)ds \end{align*}
が極値を持つような経路を光が通過します。$n(s)$は屈折率なので、この積分は光路長とみることもできます。
光路長を最短にするようなルートを取ることをフェルマーの原理ということがありますが、もっと原理的には以上のような式に従っています。ここから作用積分と等価なことを示しましょう。

フェルマーの原理を変形する

微小距離$ds$は3次元では以下のようにあらわすことができます。
\begin{align*} ds=\sqrt{dx^2+dy^2+dz^2} \end{align*}
ここで、$s$を時刻$t$の積分に変えます。屈折率$n(s)$は$x$,$y$,$z$の関数とみることができます。
\begin{align*} I&=\int_{s_1}^{s_2}n(s)ds \\ &=\int_{t_1}^{t_2}n(x,y,z)\dfrac{ds}{dt}dt \\ &=\int_{t_1}^{t_2}n(x,y,z)\sqrt{\left(\dfrac{dx}{dt}\right)^2+\left(\dfrac{dy}{dt}\right)^2+\left(\dfrac{dz}{dt}\right)^2}dt \end{align*}
つまり、ラグランジアンとして
\begin{align*} L(\boldsymbol{r},\dot{\boldsymbol{r}},t)=n(\boldsymbol{r})\left\|\dot{\boldsymbol{r}}\right\| \end{align*}
を選べばよいことになります。



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