微分積分② ラグランジュの平均値の定理 このエントリーをはてなブックマークに追加

ラグランジュの平均値の定理の証明

前回導いたロルの定理を用いてラグランジュの平均値の定理を導きましょう。

前提条件:ロルの定理とは?

ロルの定理
$f$を閉区間$[a,b]$で連続かつ$(a,b)$で微分可能な関数とする。
\begin{align*} f(a)=f(b) \Rightarrow f^\prime(c)=0, a\lt c \lt b\text{を満たす}c\text{が存在する} \end{align*}
(参考:ロルの定理)

ラグランジュの平均値の定理とは?

ラグランジュの平均値の定理
$f$を閉区間$[a,b]$で連続かつ$(a,b)$で微分可能な関数とする。
\begin{align*} \dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}=f^\prime(c),a\lt c\lt b \end{align*}
を満たす$c$が存在する。
ちなみに、コーシーの平均値の定理はラグランジュの平均値の定理を経由せずにロルの定理から導きます。実はコーシーの平均値の定理で分母を$g(x)$$=x$としたものが今回のラグランジュの平均値の定理、ということになります。(参考:コーシーの平均値の定理)

ラグランジュの平均値の定理の別ver.

同じことですが、$h$$=b-a$とおいて、
\begin{align*} c=a+\theta(b-a)=a+\theta h \end{align*}
と表せば、ラグランジュの平均値の定理は、
\begin{align*} f(b)-f(a)=hf^\prime(a+\theta h), 0\lt \theta \lt 1 \end{align*}
と書き換えることができます。

ラグランジュの平均値の定理の証明

まずロルの定理を用いるには、閉区間$[a,b]$で連続で、$(a,b)$で微分可能、$g(a)$$=g(b)$$となる関数を用意しなければなりません。この関数として以下の様な関数を用意します。
\begin{align*} g(x)=f(x)-\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a}(x-a)-f(a) \end{align*}
確かに、$g(a)$$=g(b)$($=0$)が成り立ちます。よって、ロルの定理より、$g^\prime(c)$$=0$,$a\lt$$c$$\lt b$となる$c$が存在します。ただし、
\begin{align*} g^\prime(c)=f^\prime(c)-\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a} \end{align*}
です。よって、
\begin{align*} f^\prime(c)=\dfrac{f(b)-f(a)}{b-a},\ (a\lt c \lt b) \end{align*}
を満たす$c$が存在します。



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