線形代数⑤ 置換・互換 このエントリーをはてなブックマークに追加

互換と置換の符号

線形代数の話とは直接は関係ないのですが、行列式の定義に用いるので先に紹介します。

置換とは?

置換
写像$\sigma$$\{1,2,\cdots,n\}$$\to$$\{1,2,\cdots,n\}$を置換と呼びます。この対応関係を
\begin{align*} \begin{pmatrix} 1 & 2 & \cdots & n \\ \sigma(1) & \sigma(2) & \cdots & \sigma(n) \end{pmatrix} \end{align*}
と書きます。特に、$\sigma$が全単射の時のみ(ある数を選べば対応する要素が必ずある場合)を置換と呼ぶことも多いようです。
たとえば、
\begin{align*} \begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 & 4 \\ 3 & 4 & 2 & 1 \end{pmatrix} \end{align*}
という場合は1を3に、3を2に、2を4に、4を1に、というように置き換えるということになります。さらにこれを以下の様に表現することができます。
\begin{align*} \begin{pmatrix} 1 & 3 & 2 & 4 \end{pmatrix} \end{align*}

互換とは?

互換とは以下のようなことをいいます。
互換
\begin{align*} \begin{pmatrix} a\ b \end{pmatrix} \end{align*}
これは$a$と$b$を入れ替えるということを指し、互換といいます。また、置換を互換に分解する公式があって、
\begin{align*} \begin{pmatrix} k_1\ k_2 \ k_3\ \cdots \ k_n \end{pmatrix} =(k_1\ k_n)(k_1\ k_{n-1})\cdots (k_1 \ k_2) \end{align*}
置換の積右から順番に考えていきます。つまり、まずは、$k_1$と$k_2$を入れ替えて、次に$k_1$と$k_3$を入れ替えて、...を繰り返していきます。

ただし、互換による置換の表し方は一通りではないですが、互換が偶数個か奇数個かは不変になります。

置換の符号

ある置換$\sigma$を互換の積で表した時に、互換の数が偶数の時に符号が正、互換の数が奇数の時に符号が負と定義します。これを
\begin{align*} \text{sgn}(\sigma) \end{align*}
と表します。



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