ベクトル解析⑨ ガウスの発散定理 このエントリーをはてなブックマークに追加

ガウスの発散定理の証明

ガウスの発散定理(ガウスの定理)とは?



ガウスの発散定理
\begin{align} \iiint_V \nabla\cdot \boldsymbol{F}dxdydz=\iint_S \boldsymbol{F}\cdot \boldsymbol{n}dS \label{eq:3.1} \end{align}
ただし,\(V\)は3次元空間で,\(S\)は\(V\)を囲む閉面です。つまり,左辺は\(\nabla\cdot\boldsymbol{F}\)の空間\(V\)にわたる体積分であり,右辺は\(\boldsymbol{F}\)の\(S\)上の面積分です。また,\(\boldsymbol{n}\)は面\(S\)の法線ベクトルです。

物理ではマクスウェル方程式のガウスの法則(名前はこの定理と関係あるかも?)を扱うのによく使います。(参考:マクスウェル方程式とローレンツ力の式)

ガウスの発散定理の大まかな証明

いま,\(V:x\)~\(x+dx\),\(y\)~\(y+dy\),\(z\)~\(z+dz\)という微小な直方体を考えます。ここで,\eqref{eq:3.1}の左辺の積分の中身について考えると,\(\boldsymbol{F}={}^t(F_x,F_y,F_z)\)として, \begin{align} \left(\dfrac{\partial F_x}{\partial x}+\dfrac{\partial F_y}{\partial y}+\dfrac{\partial F_z}{\partial z}\right)dxdydz \label{eq:3.2} \end{align} \eqref{eq:3.1}の右辺の積分の中身を考えます。今考えている直方体の面は6つで,\(x\)軸に垂直な面は2つ,\(y,z\)軸についても同様に2つずつ垂直な面があります。たとえば,\(x\)軸に垂直な面を考えると,\(x,x+dx\)にある二つの面を考えることになります。この面については,\(dS=dydz\)です。微小空間なので,\(F_x\)の値が\(y,z\)に対して変化しないと考えると, \begin{align} \left. \boldsymbol{F}\cdot\boldsymbol{n}dS\right|_{x軸に垂直な面}&=F_x(x+dx)dydz-F_x(x)dydz \nonumber \\ &=\dfrac{F_x(x+dx)-F_x(x)}{dx}dxdydz \end{align} ここで,\(dx\)が十分小さいと考えれば,偏微分に変換できて, \begin{align} \left. \boldsymbol{F}\cdot\boldsymbol{n}dS\right|_{x軸に垂直な面}&=\dfrac{\partial F_x}{\partial x}dxdydz \end{align} さて,これは\(y,z\)軸に垂直な方向でも同様になります。つまり, \begin{align} \boldsymbol{F}\cdot \boldsymbol{n}dS&=\dfrac{\partial F_x}{\partial x}dxdydz+\dfrac{\partial F_y}{\partial y}dxdydz+\dfrac{\partial F_z}{\partial z}dxdydz \nonumber\\ &=\left(\dfrac{\partial F_x}{\partial x}+\dfrac{\partial F_y}{\partial y}+\dfrac{\partial F_z}{\partial z}\right)dxdydz \label{eq:3.5} \end{align} よって,\eqref{eq:3.1}の左辺から導いた\eqref{eq:3.2}と\eqref{eq:3.1}の右辺から導いた\eqref{eq:3.5}が等しくなるので,\eqref{eq:3.1}が成り立っています。いま,微小空間で証明しましたが,この微小空間が集まったものを考えれば一般的な空間に拡張することができます。



このエントリーをはてなブックマークに追加