測度論② ジョルダン測度 このエントリーをはてなブックマークに追加

ジョルダン測度から始めてディリクレ関数がリーマン積分不可能であることまで説明します。

測度とは。ジョルダン測度へ

たとえば、面積とは何ぞや?ということを正確に定義をしよう!ということです. まずリーマン積分の理解が前提です。


リーマン積分を用いる

ではまず、二次元ユークリッド空間中の集合$A$を考えます. ここで、被リーマン積分関数として以下のような関数を考えます.
\begin{align*}1_{A}(x,y)=\left\{\begin{array}{x}1((x,y)\in A)\\ 0((x,y)\notin A)\end{array}\right.\end{align*}
これを$A$の定義関数、もしくは特性関数と言ったりします。

特性関数という時にはギリシャ文字のカイ $\chi$を使うこともしばしば.

たとえば、この関数を$A$より大きい集合、つまり$A$を部分集合として含む集合全体でリーマン積分すれば$A$の面積が出てきます。 たとえば、もう全空間で積分してみるとか。
\begin{align*}\displaystyle \iint _{\mathbb{R}^{2}}1_{A}(x,y)dxdy\end{align*}
ここで、リーマン積分の特徴について復習なのですが、リーマン積分可能ということは、各分割区間の上限、下限とで不等式をつくり、共通の値に収束することを示して、はさみうちの原理から面積が確定することを示すのでした. (言ってることがわからなければリーマン積分について確認してください) 上限の和を$S$, 下限の和を$s$とします.
\begin{align*}D_{ij}:x_{i-1}\leq x\leq x_{i}, y_{j-1}\leq y\leq y_{j}\end{align*}
というように区間を設定して、リーマン積分について$1_{A}$についての$S$は
\begin{align*}\displaystyle S(A)=\overline{m_{J}}=\lim_{\Delta\to 0}\sum_{\mathbb{R}^{2}}\sup_{(x,y)\in D_{ij}} 1_{A}(x,y)\end{align*}
となり、この$\overline{m_{J}}$をジョルダン外測度といいます. 外があったら内もある、ということで、$1_{A}$のリーマン積分について$s$を
\begin{align*}\underline{m_{J}}\end{align*}
と表し、これをジョルダン内測度といいます.

外測度と内測度の違い

そして、ジョルダン外測度と、ジョルダン内測度が一致するとき、 (つまり関数$1_{A}(x,y)$についてのリーマン積分が存在するとき) その収束値をジョルダン測度$m_{J}$($J$は添字)といいます. では、ここからはディリクレ関数を考えましょう. ディリクレ関数とは有理数の集合$\mathbb{Q}$に対して、$x\in[0,1]$の範囲で、
\begin{align*}f(x)=\left\{\begin{array}{p}1(x\in \mathbb{Q})\\ 0(x\in \mathbb{Q})\end{array} \right.\end{align*}
というものでした。この関数は実数全体で不連続になるのでした。 つまり、$x$をどんなに細かく分割してもその中に無理数と有理数が含まれてしまいます。つまり、常に上限が1,下限が0となるわけです. ディリクレ関数$f$について
\begin{align*}s(f)=0, \ S(f)=1\end{align*}
となってしまうわけです。リーマン積分の極限が確定しないのでこれはリーマン積分不可能というわけです.

ルベーグ外測度につながる思考・定義の見直し

ではどうしたらよいのか? そこで測度というものまで遡って定義を変えてあげればいいのでは?というのがルベーグ測度につながる考えになります.

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