常微分方程式① 変数分離 このエントリーをはてなブックマークに追加

変数分離形の微分方程式の解法

変数分離形の一般的な形は以下の形で書けます
\begin{align} \dfrac{dy}{dx}=f(x)g(y) \end{align}
つまり、$xとy$それぞれの関数の積で書けるということです。

最もシンプルな形の例題

$g(y)=$定数だと簡単に考えることができます。特に$g(y)=1$としてみましょう。このとき以下のようにできるでしょう。
\begin{align} \dfrac{dy}{dx}=f(x) \end{align}
この辺々を$x$で積分してみると,
\begin{align} y=\int f(x)dx \label{eq:1} \end{align}
ということになります。

初期値を含む例題・一般解と特殊解

\eqref{eq:1}式の右辺はいま不定積分の形で書いています。

つまり、積分定数を加味する必要があります。この定数を含む解を一般解といいます。

これに対して、具体的に定数の値を定めたときの解を特殊解または特解といいます。

これをどう扱うかが問題なわけです。物理的な応用に関してはきっと初期値問題を考えるはずです。

たとえば時刻$t=t_0$で位置$x_0$に物体がある、なんていう条件を考えることがあると思います。

こういうときにはこの初期条件の値を代入すれば積分定数$C$の値が決定できるでしょう。

たとえば、以下のような問題を考えましょう。
\begin{align} \dfrac{dy}{dx}=x^3+x^2, y(0)=2 \end{align}
微分を含む法の式の辺々を$x$で積分することで,
\begin{align} y=\dfrac{1}{4}x^4+\dfrac{1}{3}x^3+C \end{align}
となります。($C$は積分定数)

次に$C$を決定したいわけですが、$y(0)=2$という条件から求めてみましょう。$x=0$を代入すれば,$y(0)=C$となるので,$C=2$と決定できます。

$g(y)\ne const.$の場合

基本の考えは「同じ式の中に違う変数が入ってると面倒」です。 だから、左辺は$y$だけ、右辺は$x$だけの式に変形します。
\begin{align*}\dfrac{1}{g(y)}dy=f(x)dx\end{align*}
ここで辺々を積分します。
\begin{align*}\displaystyle \int\dfrac{1}{g(y)}dy=\displaystyle f(x)dx\end{align*}
これが結論です。 陰関数の形になってしまう($y=$にはならない)のですが、必ずしも簡単な形にはならないのでこう書いておきます。 ここで、例を見てみます
\begin{align*}\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{2x}{y}\end{align*}
左辺に$y$、右辺に$x$をそれぞれ集めると、
\begin{align*}y\ dy=2x\ dx\end{align*}
ここで、辺々積分すると
\begin{align*}\displaystyle \int y\ dy=\int 2x\ dx\ \ \therefore \dfrac{1}{2}y^{2}=x^{2}+C\end{align*}
これが一般解(積分定数を含んだ解)になります 普通の定積分では、両辺にそれぞれ積分定数が現れます。 でも、それを右辺にまとめれば一つの積分定数で済みます。 ここでも例えば初期条件として$y(0)=2$とすれば,$C=2$となります。


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