常微分方程式⑥ クレロー(Clairaut)の常微分方程式 このエントリーをはてなブックマークに追加

クレローの微分方程式とは?

以下のクレローの微分方程式を解きましょう。
\begin{align*}y=x\dfrac{dy}{dx}+f\left(\dfrac{dy}{dx}\right)\end{align*}
以下、$\dfrac{dy}{dx}=y'$として表記します。 微分方程式の両辺を$x$で微分すると、
\begin{align*}\dfrac{df(y')}{dx}=\dfrac{df(y')}{dy'}\dfrac{dy'}{dx}=f'(y')y''\end{align*}
となるので、
\begin{align*}y'=y'+xy''+f'(y')y''\\ \therefore \left\{x+f'(y')\right\}y''=0\end{align*}
となります。すなわち、$y''=0$または$f'(y')+x=0$ということが導けます。


直線となる解を導く

$y''=0$のとき

辺々を$x$で積分することで、積分定数を$C$として、
\begin{align*}y'=C\end{align*}
もう一度辺々を$x$で積分して、積分定数$D$として、
\begin{align*}y=Cx+D\end{align*}
今、この式ではパラメータが二つ存在することになります。 しかし、これは一階の微分方程式なので積分定数は1つであるはずです。 どうにかして積分定数$D$を消去できないでしょうか。 ここで、元の微分方程式に戻って考えましょう。
\begin{align*}y=x\dfrac{dy}{dx}+f\left(\dfrac{dy}{dx}\right)\end{align*}
ここで、これと先に求めた結果を比較すると、$D=f(C)$ということになります。すなわち、$y''=0$のとき、
\begin{align*}y=Cx+f(C)\end{align*}
ということになります。

特異解が包絡線となる!

$x+f'(y')=0$のとき

元の微分方程式
\begin{align*}y=xy'+f(y')\end{align*}
と、今仮定している式
\begin{align*}x+f'(y')=0\end{align*}
これらの式より、$y'=p$とおいて、
$$\left\{ \begin{array}{x} x=-f'(p)\\ y=-pf'(p)+f(p) \end{array}\right.$$
つまり、パラメータ表示ですが曲線が導けました。 これを特異解といいます。 特異解は1つめの場合分けで求めた直線族の包絡線となっています。 これを示してみましょう。直線族は
\begin{align*}y=Cx+f(C)\end{align*}
と表されます。この直線族を$C$の関数とみて、$x$を固定して$y$の極値を探してみます。この式の辺々を$C$で微分すると、
\begin{align*}\dfrac{dy}{dC}=x+f'(C)\end{align*}
つまり、極値をとる必要条件$\dfrac{dy}{dC}=0$を満たすのは
\begin{align*}x=-f'(C)\end{align*}
のときです。つまり、$y$は
\begin{align*}y=-Cf'(C)+f(C)\end{align*}
となります。これは先ほど求めた特異解の式と一致します。 つまり、極値が存在するならば、特異解が包絡線になっています。


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